平成30年普及指導員資格試験審査課題 問23
問23
農業生産の省力化技術・体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを選びなさい。
ア 水稲の直播栽培は、育苗や移植等に要する資材や労力が不要となるほか、同時期・同品種による移植栽培に比べて収穫機が10日から2週間程度早まるため、作期分散の効果がある。
イ 地下水位制御システム(FOEAS)は、水田の給水バルブと給水口をパソコン等でモニタリングしながら遠隔操作や自律制御するシステムで、分散した水田の水管理に有効である。
ウ 野菜類の機械化一貫体系の確立に向けた収穫用機械等の開発が進められ、畝間の軌道を走行しながらトマト果実を収穫するロボット収穫機が、平成29年度に市販されている。
エ 果樹の樹体ジョイント仕立ては、複数樹の主枝部を連続的に接ぎ木で連結し、直線状の集合樹として仕立てる方法であり、多くの樹種で管理作業の省力化・効率化や早期成園化の効果が確認されている。
オ 畜産農家の労働負担の軽減には、粗飼料、濃厚飼料、添加物等をバランス良く配合した飼料を製造・供給するキャトル・ブリーディング・ステーション(CBS)の活用による、作業の外部化が有効である。
正解 エ
解説
水稲の直播栽培とは、育苗、田植えを行わず、たねもみを水田に直接まく栽培法です。
省力・省コストの栽培技術として注目されていますが、
・播種から出穂までに100日程度(移植対比10日程度遅い)
・播種から収穫までに140日程度(移植対比10日~20日程度遅い)かかる
・冷涼、湿潤な気候条件下では出芽・苗立ちが不安定になり易い
・市場評価の高いコシヒカリなどの品種では倒伏し易い
等の問題点があります。よって、アは不正解。
農水省HP「水稲直播栽培の現状について」より
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/zikamaki/z_genzyo/index.html
地下水位制御システム(FOEAS)は、
分散した水田の場合、水田ごとにシステムを必要とし、
また設定もほ場に応じて調整しないといけません。
一つのシステムでより多くの面積を管理する方が効率的です。
よって、イも不正解。
トマト果実収穫機は、2020年現在一部で導入されていますが、
市販はされていません。
畜産農家内で飼料の製造・供給の外部化は進んでいますが、
CBS(キャトル・ブリーディング・ステーション)とは、
母牛の発情監視や授精を受託する繁殖牛受託施設のことになりますので、
不正解です。
よって、正解はエとなります。