平成30年普及指導員資格試験審査課題 問31
問31
リン酸肥料に関する次の記述のうち最も適切なものを選びなさい
ア 作物はリン酸を生育後期に必要とする。根が充分に伸びた後に吸収させて葉の表皮細胞に蓄えておくと、その後の生育が良くなる。そのため、リン酸肥料は全量を追肥として施すことが基本となる。
イ 過リン酸石灰は、水溶性のリン酸肥料をで即効性である。ただし、アルミナの活性が高い酸性の黒ボク土等では、アルミナと結合して不溶化しやすいので、堆肥に混ぜて施す。
ウ 過リン酸石灰は、副成分として石膏(硫酸カルシウム)を含んでいる、石膏は鉄と石灰の供給源になる。石膏は、炭酸カルシウムや苦土石灰と比べると水に溶けにくい。土壌の pH を下げずに石灰分を供給することができる。
エ 熔成リン肥は、水に溶けやすく根のアルカリ分や酸性肥料に接して溶けていき、く溶性リン酸を含む即効性のリン酸肥料である。
オ 熔成リン肥は、リンのほかに窒素やマグネシウム等の酸性の成分を多く含む肥料なので、火山灰土壌や、痩せた畑の土壌改良には効果が低い。
正解 イ
解説
ア…リンは一般的に植物の成長、分げつ、根の伸張、開花、結実を促進するため、生育初期から必要な要素である。そのため、リン酸肥料は作付前の基肥で施肥するのが一般的である。よって、設問の記述は誤り。
ウ…石膏はカルシウムとイオウの供給源となる。過リン酸石灰は水溶性リン酸主成分とする即効性の肥料であるため、やや遅効性である炭酸カルシウムや苦土石灰と比較し水に溶けやすいので、「水に溶けにくい」というのは誤り。
エ…熔成リン肥はく溶性である。作物の根から分泌される有機酸(根酸)によりゆっくり溶解する。よって、設問中の「アルカリ分」や「即効性」という記述は誤りである。
オ…熔成リン肥は石灰や苦土といったアルカリ分を含む。また、弱アルカリ性を呈する塩基性肥料であるため、火山灰土壌等のリン酸固定力の強い酸性土壌でも高い肥効が認められる。よって、オは誤り。