平成30年普及指導員資格試験審査課題 問36
問36
農業における法人組織に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選びなさ。
ア 法人経営には、出資に伴う責任の範囲や経営のあり方によって、合名会社、合資会社、合同会社、株式会社、農事組合法人等がある。
イ 農事組合法人は、共同での施設利用や農作業を行う1号法人と、農業経営を行う2号法人に分けられ、1号法人は農業経営を行うことができない。
ウ 農業法人には、「農業協同組合法」に基づく農事組合法人と「会社法」に基づく会社法人があり、そのうち農地所有適格法人になれるのは「農地法」で定めている事業要件、議決権要件、役員要件を備えた、農事組合法人(2号)と会社法人である。
エ 平成18年に有限会社制度を廃止され、従来の有限会社は「特例有限会社」という株式会社としての存続が認められている。
オ 農業法人経営の長所としては、農業者年金の増額、農地の相続税の支払い軽減措置が挙げられる。
正解 オ
解説
法人化のメリットとしては、農水省のHPに以下のような記載があります。
・経営管理能力の向上
経営責任に対する自覚を促し、経営者としての意識改革を促進
家計と経営が分離され、経営管理が徹底(ドンブリ勘定からの脱却)
・対外信用力の向上
財務諸表の作成の義務化により、金融機関や取引先からの信用が増す
・経営発展の可能性の拡大
幅広い人材(従業員)の確保により、経営の多角化など事業展開の可能性が広がり、経営の発展が期待できる
・農業従事者の福利厚生面の充実
社会保険、労働保険の適用による従事者の福利の増進
労働時間等の就業規則の整備、給与制の実施等による就業条件の明確化
・経営継承の円滑化
農家の後継者でなくても、構成員、従業員の中から意欲ある有能な後継者を確保することが可能
・役員報酬を給与所得とすることによる節税
(役員報酬は法人税において損金算入が可能。また、所得税において役員が受け取った報酬は給与所得控除の対象となる。)
・欠損金の10年間繰越控除(青色申告をしている個人事業主は3年間)
・融資限度額の拡大
農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)の貸付限度額
・個人3億円(複数部門経営は6億円)
・法人10億円(民間金融機関との協調融資の状況に応じ30億円)
設問オに書いてあるようなメリットは特にありませんので、不適切となります。