平成30年普及指導員資格試験審査課題 問37
問37
戦略的な知的財産の活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選びなさい。
ア 伝統野菜等の従来品種は品種登録の対象外であるため、商品名やマークを商標登録し、類似の名称の使用を排除することによる保護が有効である。
イ 商標権を取得すると、名刺をやマークを独占的に使用できるが、他社へ商標の登録を許諾することはできなくなる。
ウ 特許は、出願から1年6ヶ月後に内容が公開(出願公開)され、他者は特許の内容を知ることができるので注意が必要である。
エ ノウハウ等が公開されることよりデメリットが大きいと判断した場合は、権利化ではなく営業秘密として秘匿する方法がある。
オ 模倣品等の侵害行為に対しては、差止請求等の権利を行使して模倣品を排除し、ブランド保護の強化を徹底する必要がある。
正解 イ
解説
特許や品種登録等の「発明」を独占する権利を「知的財産権」と呼びます。
基本的に知的財産権を取得したものは、内容を公開されてしまいます。
発明をした者に対して、国が独占権を与えることで発明を保護・奨励しつつ、
出願された発明の技術内容を公開して利用を図ることで、
産業の発達に寄与することを目的としているためです。
また、権利の多くは更新する度に費用が掛かり、期限もあります。
発明者の保護は重要ですが、権利を永久的に認めてしまうと、
産業の発展の遅延や阻害に繋がりかねないからです。
方法や内容を教えたくないものについては敢えて権利化せず、
製造方法を秘密にしておく方が望ましい場合もあります。
こういった戦略を「知的財産戦略」といいます。
商標権とは、簡単に言うと「商品やサービスに付ける目印」です。
当然、他者の使用を禁じることもできますし、認めることもできます。
熊本県の「くまもん」は、基準を満たせば無償で使用できる商標です。
よって、設問イは誤り。