令和元年普及指導員資格試験 問11
問11
我が国の食品の安全性と消費者の信頼確保に関する次の記述のうち、最も適切なものを選びなさい。
ア 農林水産省では、関係省庁等と協力して、商品の安全性の向上に取り組んでいるが、農林水産物や食品中の有害化学物質や有害微生物の実態調査を行うには至っていない。
イ 農林水産省は、安全性確保の観点から、農薬取締制度の見直しを行ったが、登録されてい全ての農薬について定期的に安全性を評価する再評価制度の導入は今後の検討課題となっている。
ウ 原産国名や原料原産地名等の表示の適正化を図るために、「食品表示法」に基づき実施する監視・取締りに関する全ての事務は、都道府県の食品表示監視担当職員が行っており、国は直接関与していない。
エ 我が国の流通加工業者に対しては、商品を取り扱った際の記録をきちんと作成し、保存していくことが、「食品表示法」により義務付けられている。
オ 平成30年に公布された「食品衛生法の一部を改正する法律」では、原則として全ての商品と事業者が HACCP(危害要因分析・重要管理点) に沿った衛生管理に取り組むことが盛り込まれた。
正解 オ
解説
ア 農水省「食品の安全性の向上に向けた取組」
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h23_h/trend/part1/chap2/c2_1_01.html
該当ページ中の記述、
「食品安全に関する情報を収集・分析し、優先的にリスク管理の対象とする有害化学物質・有害微生物を決定した上で、農畜水産物・食品中の含有実態調査を行っています。また、これら実態調査の結果を解析し、必要がある場合には、低減対策を検討することとしています。」
とあることから、設問中の「実態調査を行うには至っていない」との記述は誤り。
イ 農水省「農薬の再評価」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/saihyoka/
改正農薬取締法(2018年12月1日施行)において、全ての農薬について、
定期的に、最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みを導入しました。
具体的には、
1. 改正法の施行後に登録された農薬については、今後、概ね15年ごとに再評価を実施、
2. 改正法の施行時での既登録農薬については、2021年度から、優先度に応じて順次、再評価を実施。
とあることから、イの記述も誤り。
ウ 監視体制は、広域については消費者庁や農林水産省が事務を行っています。
県域は都道府県、市域は指定都市が行うなど、協力体制を築いています。
よって、「国は直接関与しない」という記述は誤りになります。
エ 流通の記録(トレーサビリティ)に関しては、日本では米と牛を除き、食品衛生法において努力義務として規定されているのみです。よって、エの記述も誤り。