糸口
秋の長雨の様な、鬱々とした日々を送っていた。
原因はいまいち掴みきれないが、日々に対する不満だけが募っていた。
何かを打開したくて、三連休は、久々に大学の友人と会うことにした。
サークルの友人と飲み、卒業以来初めて文化祭に足を運び、大学の雰囲気を味わった。
キャンパスの中は活気に溢れていた。
自分よりも一回り若い世代が、独特の秩序の中で、それぞれ、大いに楽しんでいた。
自分もかつてその中に居たという、懐かしさは感じたが、特に戻りたいとも思わなかった。
学生時代も楽しかった。だが、楽しかったのは今も付き合いのある連中が、
その時代に自分の周りに居たからで、決して大学自体そのものが楽しかった訳ではないようだ。現に今も一緒につるんでいる。となれば、不調の原因は友人関係では無さそうだ。
楽しかったが、不満解決の糸口は見つからなかった。
そう思ってた矢先、帰り道に会った友人から言われた言葉が、今も響いている。
「お前老けたなぁ」
家族の事、会社の事、そして自分の事。
身の回りの世界だけを、虫眼鏡片手に、必死にあら探しをするような毎日。
そんな毎日を送り、いつしか、何年も服も買わない様な生活をしてしまっていた。
人からどう見られるかはあまり気にしない質であるが、
老けているというのは、決して外見だけではないだろう。
忙しさを言い訳にして、外界と接するのを避けていた。
恐れていたのかもしれない。
現状維持。いつしかそれだけが目標になっていたのだろうか。
昔の友人でも構わない、とにかく多様な人と会い、
自分に無い考え方に触れ、好奇心を取り戻すこと。
「活力」が、この日々を抜け出す鍵だ。
どうやらこの三連休は、大きな収穫があったようだ。
単純に「外見」の事であったなら、
この話は考えないことにしよう。